ローリング療法とは、各種のローリング器を使って、体全体にできたしこり(硬結)、くすぐったさ(擽感)、鬱血を除去することで、筋肉や関節の動きを正常にし、全身及び局所の血液循環障害を改善して、病を治癒に導く療法です。
ローリング器には、自動式と手動式の二種類があります。
自動式ローリング機は、1965年にローリング療法の創始者 蓑原右欣が開発し、国内特許を取得した、ローリング療法の基礎です。今日では医療用や家庭用マッサージ器の重要な機能の一部としてローリングが利用されています。
一方の手動式ローリング器は、現在のローリング療法の主軸となっており、頭からあしの指先まで身体全体をくまなくローリング(人体の表面をローラーでコロコロと転がす)するために、より専門的に開発が重ねられ、現在治療で使用されているものだけでも、40種を数えます。
ローリング器で人体をくまなくローリングすると、体中にたくさんのしこりを見つけることができます。しこりの形状は実に多種多様で、肩こりのコリのような分かりやすいものから、体の奥深くの筋肉にできているもの、皮膚表面、関節の隙間、耳たぶ、指先にできるものなど実にさまざまです。特に、皮膚表面や耳たぶ、指先などのしこりは、ローリングをしてみないと発見が難しいほど細かいものなのです。

しこりのできる原因は、ストレスで身体にいつも余計な力を入れている為に筋肉が慢性的に疲労している為や、内臓病変の反射、怪我の後遺症、疲労、スポーツ後の筋肉痛の放置等、いくらでもあるでしょう。できたしこりは自然に回復してくれるものもありますが、いつまでも身体に存在すると、色々な症状の原因になります。
身体にはそれぞれに対応した反射区があります。最近では良く知られるようになった足の反射区はその代表例ですが、そのほか、手、頭部、耳部、胸部、腹部、背部、臀部等、各所に有り、それぞれの疾患に対応した部位にしこりが発生しています。

腰痛を例にとってみても、実際に痛みがある腰部分にできた筋肉のしこりだけが原因とは限りません。むしろ、硬くなった腹筋や、股関節まわりの筋肉のしこりよって股関節の動きが悪くなり腰部へ負担をかけていたり、額関節の動きの悪さが腰に影響を与えていたり、足関節の動きが悪く歩行が正常に行われないために腰痛になるなど、身体全体に発生したしこりが原因となって、筋肉や関節が正常に動かせないために腰痛を引き起こしている場合が多いのです。もしそうであれば、腰痛を治すのに腰部だけを治療対象にしてもなかなか治らないのは当然で、どの関節が、どの筋肉が正常に動いていないのか、どの部分に発生したしこりが邪魔をしているのかを正確に見つけ出し、除去してやる必要があります。また、その方の体型、年齢、性別、壮健か虚弱か、痛みに対する感受性、もっている疾患など、体質等も考慮しながら除去しなければなりません。

その多くの条件に臨機応変に対応する為に、耳部や頭部、背部などその部分に合わせたローリング器が必要となり、多種多様のローリング器が用意されています。
また同時に、ローリングする際の刺激の強さも重要であり、この刺激の強さのことを『ローリング療法のドーゼ(刺激量)』と呼んでいます。
この様にローリングしなければ解からない感覚、ローリングしなければ見つけられないしこりの存在、それをからだに持っている為に色々な病気や痛み、身体の不調が起きているのです。
筋肉は第2の心臓、皮膚は第2の脳ともいわれています。第2の心臓のしこりを取るために、第2の脳の擽感を除去するためにローリング療法は存在しています。